飲食店の物件の探し方
良い物件と巡り合うのは運なのか、足しげく探す努力なのか、それともコネなのか…。
小さな飲食店を開業したいと考えている方に向けた物件探しの大事なポイントを、大手飲食チェーン店の店舗開発担当として14年間でのべ500店舗(※2024年5月時点)のオープンを手がけてきた牧野さんがアドバイスしてくれました。
初めての開業。立地にこだわるのは当然なのですが、立地や物件を決めた後の内装にばかり意識がいってしまう方が多いです。
しかし、それだと大切な自分のお店を長く続けるのに十分とは言えません。

賃貸契約までの流れとポイント
店舗の物件探しも、住居の物件探しも基本的な流れは同じです。
まずは、手近な不動産屋さんに相談したり、不動産ポータルサイトなどで物件を調べたりします。
良さそうな物件が見つかったら、内覧して、申し込み。
審査に通ったら、賃貸借契約を結びましょう。
- 不動産の条件を考える(場所、駅からのアクセス、間取り、広さなど)
- 不動産屋やネットなどで物件を探す
- 気になる物件を内覧する
- 申し込みをする
- 入居審査を受ける
- 契約手続き
物件を探す方法
物件探しの方法にはさまざまな種類があります。
それぞれメリット・デメリットがあるため、2つ以上の手段を組み合わせるのがおすすめです。
インターネット
不動産ポータルサイトや各不動産のHPなどを使って物件を探す方法です。
中には居抜き物件・店舗物件を専門に紹介しているサイト、飲食店専門の不動産サイトなどもあるのでチェックしてみてください。
インターネットには膨大な量の情報がある上、24時間アクセスできるため、希望の物件を見つけやすいでしょう。
ただし、大家さんの意向でネットに掲載されない物件がある、写真と実物の印象が違う場合がある、最新の情報が掲載されていない場合がある点などはデメリット。
漫然とチェックするのではなく、予算や出店エリア、坪数などの条件をあらかじめ設定しておき、良さそうな物件は実際に内覧してみるのがおすすめです。
出店エリアの不動産会社を活用
出店エリア(駅)が決まっているなら、該当エリアの不動産業者に相談しても良いでしょう。
エリア内の物件情報だけでなく、その土地にいなくては分からないような人の流れ、傾向なども教えてくれるかもしれません。
また、ネットには出回っていないレア物件を教えてくれる可能性もあります。
ただし、遠方の場合は現地までの交通費や時間がかかる、業者によって当たり外れがある点などはデメリット。
インターネットで検索しながら、不動産業者をうまく活用してみるのが良いかもしれません。
知り合いからの紹介
開業を考えていると周囲に伝えておくと「あそこに空き物件あったよ」と教えてもらえることも増えます。
飲食のネットワークがあれば、その可能性は広がりますし、もしなくても、歩いていると意外と「貸し物件(店舗可)」を見かけたりするものなので、自分の行動範囲外のエリアでの物件を教えてもらえることもあるはず。
自分の足で探す
希望のエリアを歩いて、物件を探す方法もあります。
インターネットに掲載されていない物件に「テナント募集」の貼り紙が出ていることも多く、意外に魅力的な物件に出会えるチャンスがあるのです。
また、実際にエリアを歩くことで、その土地の雰囲気や地域性を理解することが可能です。
ただし、遠方の場合は現地までの交通費や時間がかかったり、無駄足に終わったりすることも多いので要注意です。
開業準備期間に、Uberの配達をしながら物件を見て回るという方法で物件を探している人もいるようです。
プロの手を借りる
物件探しは非常に時間や手間がかかる作業です。
1軒目で気に入り、かつ採算がとれると思われる物件が見つかることはほとんどないと言っていいでしょう。
経験豊富なプロに物件探しを代行してもらえれば、出店したいお店の特性やニーズに合った物件に、時間や手間をかけずに出会えるでしょう。
ただし、その分費用はかかります。
| 方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| インターネット |
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| 出店エリアの不動産会社 |
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| 知り合いからの紹介 |
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| 自分の足で探す |
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| プロの手を借りる |
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物件契約にかかる費用まとめ
物件取得費用の目安は、賃料の10ヶ月程度。
取得費の内訳は、一般的に以下の通りです。
- 保証金・敷金:相場は賃料の6~12ヶ月分。退去時に補修費用を引いて返還される
- 仲介手数料:相場は家賃の1ヶ月分
- 礼金:相場は賃料の0〜2ヶ月分。返還されない
- 前家賃:契約月と翌月の家賃
- 造作譲渡料:相場は0~200万円ほど
- 造作譲渡に関わる手数料:0円~譲渡金額の5~10%、1件30~50万円など業者や物件によりさまざま
1~4については、支払いが完了しないと物件を借りることができません。
保証金のための融資は受け付けない金融機関が多いため、かならず自己資金で準備しておきましょう。
5と6については、居抜きの場合のみにかかる費用です。
適正賃料の考え方
飲食店の家賃は、1ヶ月間の売上に対して10%以下が理想とされています。
どんなに条件に合った物件でも、家賃比率が10%以上の物件はおすすめできません。
飲食店の売上は、天候や流行などさまざまな要因で変わる可能性があり、売上が低迷した際にもしっかり支払える程度の家賃に抑えることが大切です。
物件を契約する際の一番重要なポイントとは
「立地や広さが希望通りだから契約しよう」では契約の決め手としては足りません。
その立地や広さで、かつ席数と回転率、そして単価とを掛け合わせて考えた結果、事業計画通りの店舗運営が可能かどうかという視点を持つことが何よりも重要です。

事業計画書通りに運営できるかどうかを考えるための指標を以下にまとめました。
ターゲットから出店エリアを逆算する
物件を探す際は、「とにかく繁華街や駅近がいい」「オシャレな物件が良い」など好みや勘を優先するのはNGです。
人通りが多く誰もが知っている一等立地の物件だからといって、自店のビジネスに合っていなければ成功することはできません。
注目したいのは「出店すべき、良い物件」かどうかです。
- どんな人たちがターゲットなのか
- ターゲット層の集客が狙えるエリアはどこか
- そのエリアなら、どれくらいの価格設定にできそうか(またはこの価格設定にしたいから、この辺のエリアがターゲットになるという考え方もできます)
などをよく考え、ターゲットから出店エリアを逆算しましょう。
その上で、物件契約にかかる費用と「エリア」「予算」「物件の質」を見比べて、「設定した売り上げ計画が達成できそうか」「コストが膨らみ過ぎていないか」など、多角的な視点で物件を検討することが大切です。
この出店エリアと、この後に解説する「必要な広さとは【回転率を考える】」の部分で事業計画書通りの店舗運営が可能かを考えて物件を決めます。
必要な広さとは【席数・回転率・単価から考える】
できるだけ店舗が広い方が、たくさんのお客さまを収容でき、売上を上げられそうな気がするかもしれません。
しかし広ければ広いほど家賃は高額になる上、席数に対してスタッフも必要です。
よほど上手にやりくりをしないと、人件費や光熱費などがかさんで利益が上がりにくい店舗になってしまうでしょう。
まずは、どんなお店にしたいかよく考えてください。
カウンター越しにマスターが1人で接客するようなお店なら、5坪もあれば十分です。
広い座敷で大きな宴会にも対応できるようなお店なら、20坪以上は必要でしょう。
すでに設定されている売上目標に対して必要な広さを知りたい場合は、「席係数」を使って計算します。
計算式は以下の通りです。
売上高=坪数×席系数×満席率×回転率×客単価
「席系数」は、1坪に設置できる席数のことで、1坪あたり1.3~1.5席が目安です。
ゆったりとした雰囲気のお店や高級店の場合は1、回転率を重視するお店では1.8にします。
「満席率」とは、座席稼働率のこと。
目安は0.6~0.7です。
「回転率」とは、1時間当たりにお客様が何回入れ替わるかを表した数値。
滞在時間が2時間なら0.5、30分なら2です。
正しい回転率の予測は非常に難しいです。
そのため、私たちの場合は回転率を売れる・売れない・普通という3パターンで考えます。
最低ラインを基準にして「ここだったとしても大丈夫」という指標を持ちます。
良くないのは「売れる」と想定しても利益が出ないパターンです。
こうなったときに開業を考えている方や、コンサルタントは「単価」を見直しがちですが、私たちはそれは極力しません。
単価=メニューは多くの場合、開業する皆さんの一番大切な夢に該当するところです。
夢を応援することを軸に、席数を調整したり、物件を見直したりということを行っていきます。

物件を内見(内覧)
気になる物件が見つかったら、実際に物件を見ることが大切です。
ただ漫然と見るのではなく、あらかじめコンセプトやターゲットなど出店イメージを固めておいて、それに合った物件かどうかをチェックしましょう。
できれば、一緒に営業する方や内装工事業者と同伴で内見するのがおすすめです。
内見の流れ
一般的な内見の流れは、以下の通りです。
- 希望の物件を探す
- 電話やWebで問い合わせ、内見を依頼する
- 店舗オーナーや不動産業者と日程を調整する
- 内見参加
物件の情報はもちろん、周辺情報や営業状況など、インターネット上では分からない情報を不動産業者に直接聞けるチャンスなので、ぜひ積極的に質問してみましょう。
内見でのチェックポイント
内見でチェックしたいのは、主に以下の項目です。
- 周辺状況(駅の利用者、商圏、滞在人口、通行量、競合店、周辺施設)
- 外観(見た目の印象、間口の広さ、専用階段の有無)
- フロア(レイアウト、動線、席数など)
- インフラ(電気・ガス・水道・排水など)
- 厨房設備(ダクト、グリストラップ、厨房防水)
「インフラとか大丈夫でしょう」と思っているかもしれませんが、意外と電気の線が届かないとか、契約電力の上限が低かったとか、「嘘でしょう!?」と思うようなこともあるので、知見がある人に
居抜き物件の場合は、どんな状態で引き渡されるのか、引き渡し時期、内装の雰囲気などをよく確認しましょう。
機器が譲渡される場合は、動作の確認なども必要です。
引き渡し状態の確認ができれば、「どの程度改装が必要か」「どんな設備を購入すれば良いか」などを考え、予算を立てられるようになるでしょう。
すでに内装会社と契約している場合は設計士が立会してくれることもありますが、当然「設計士」なので、事業計画に基づいた席数や回転数などを考えながら意見を出してくれる人はいません。
内見で見るべき最重要ポイントは、この物件でどんなデザインが叶うかではなく(それは後からでも十分考えられます)、事業計画を実現できるかなので。
だからこそ、内見は内装のプロではなく、開業のプロと一緒に行ってください。たとえばミセツクでは5万円の開業サポートの中に内見立会サービス(無料・回数無制限)があります。
私が同行しますので、活用してください。

入居申し込み…でも"空家賃"に注意!
良い物件が見つかり、内覧もして「この物件なら問題ない!」となったら、いよいよ申し込みです。
必要な書類を用意し、手続きを行いましょう。
賃料や保証金の減額、入居時期の相談など、希望がある場合は申し込みをする前に必ず伝えてください。
後から言っても対応してくれないケースがあります。
注意したいのが「空家賃」です。
空家賃とは、物件を正式契約してから開業するまでの期間に払う家賃のこと。
内外装の改装工事や設備の導入など、開業までの時間がかかるほど、金銭的な負担が大きくなってしまいます。
特に、各種申請などの準備が滞ると、お店は受け入れ体制が万全なのに、営業許可が下りていないのでオープンできない、なんてことになりかねません。
物件を契約する場合は、あらかじめ準備を行い、すぐに次のスケジュールに移行できるようにしておきましょう。
また、空家賃を最小限に抑えるために、契約書に記載された入居開始日と実際に店舗を使い始める日とのギャップをなくすように交渉したり、開業準備期間の家賃について割引をお願いしたり、営業開始日を家賃の支払い開始日とするように交渉してみることも大切です。
開業準備をしていると、本当は並行してやらなければ無駄な時間や費用が発生するときでも、ひとつの作業に夢中になってしまうことが多いはず。
原因は、他にやるべきことの把握ができているけど手を出す余裕がないか、メニューや内装など、やりたいことにばかり意識が行ってしまうかのどちらか。
とくに最初の飲食店開業だと、ネットや書籍の情報、ご自身のやりたいことや考えなどを整理していくことも大変で、本来時間をかけるべき点などがおざなりになってしまうこともあるかと思うので、注意してください。

事業計画通りに店舗運営ができること
「良い物件」の定義を開業のプロの皆さんに教えてもらいました。
何より大事なのは事業計画!これをしっかり刻み込んでください。
この物件探しの過程で牧野さんが展開する「飲食店事業者に失敗しない店づくりを支援するプラットフォーム・ミセツク」でサポートしてもらえるのは、以下です。
- 不動産紹介(物件契約で賃料1ヶ⽉分)
- 内見立会(無料)
別途店舗開発契約料5万(事業計画書策定~開業後サポート含む)がかかります。
ぜひこういったプロの力を借りながら、夢である自分の店舗の成功確率をあげていきましょう!
飲食店開業するときの流れ

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